オーストリア・ウィーンで開催されたECR 2025(European Congress of Radiology)において、株式会社CLINIAL(東京都渋谷区、代表取締役: 水野孝昭)と国立研究開発法人国立がん研究センター(東京都中央区、以下「国立がん研究センター」)による共同研究の成果として、「Evaluation of the compatibility of HL7 FHIR mCODE with the data set for healthcare information exchange (HIE) of radiotherapy history in Japan and the United States」が発表されました。
本研究は、がん放射線治療歴を医療機関・国境を越えて共有するためのデータ連携基盤を構築することを目的に、がん領域の国際標準規格であるmCODE(minimal Common Oncology Data Elements)およびHL7 FHIRを、日本と米国の放射線治療データにどこまで適用できるかを検証したものです。三次医療機関であるがん専門病院において、電子カルテや部門システムなど約50のシステムからデータを集約した統合データベースを対象に、研究・臨床試験・日常診療といったユースケースごとにmCODEの項目をどの程度カバーできているかを評価しました。
その結果、約3,400項目のmCODE要素のうち、Clinical Research用に必要とした1,076項目の292項目(29.4%)、Clinical Practice用に必要とした1,106項目の297項目(29.1%)が、統合データベースから即時に抽出可能であることが示されました。また、日本の放射線治療関連規格であるJROD(Japanese Radiation Oncology Database)標準項目の90.1%、米国のARS Radiotherapy Summaryの68.4%がmCODEに含まれており、放射線治療歴を中心とした情報連携においてmCODEが高い網羅性を持つことが確認されました。一方で、既往歴やカンファレンス記録など自由記載テキストに依存する情報は、そのままでは医療情報交換(HIE)に直結しにくいことも明らかになりました。
結論として、本研究はmCODEを用いた医療情報交換(HIE)により、放射線治療歴を含むがん診療に必要な基本情報の多くを標準化・構造化して共有できる一方で、患者プロフィールや自由記載情報については、既存のFHIRリソースの併用や、大規模言語モデル(LLM)を活用したテキスト構造化など、追加的な取り組みが有効であることを示唆しました。
当社は、本共同研究で得られた知見をもとに、国立がん研究センターをはじめとする国内外の医療機関と連携し、mCODE/HL7 FHIRを活用したがん診療情報の標準化・医療機関間連携基盤の実装を進めてまいります。
(参考)
EPOS™ - ECR 2025 / C-15047 | Evaluation of the compatibility of HL7 FHIR mCODE with the data set for healthcare information exchange (HIE) of radiotherapy history in Japan and the United States
https://epos.myesr.org/poster/esr/ecr2025/C-15047